一般社団法人
アクション・フォー・コリア・ユナイテッド

一般社団法人
アクション・フォー・コリア・ユナイテッド

3.1独立運動102周年記念オンラインフォーラム「3.1独立運動の精神が示す朝鮮半島平和的統一のビジョンと国際協力」を開催しました

2021/04/15

 3月1日に3.1独立運動102周年記念オンラインフォーラム「3.1独立運動の精神が示す朝鮮半島平和的統一のビジョンと国際協力」を開催しました。
 102年前の3月1日に当時、日本の植民地下にあった朝鮮半島で始まった3.1独立運動の基礎となった精神をふり返り、現代に及ぼす意義について、韓国・米国・日本の市民社会のリーダーにお話いただきました。
 以下、要旨を抜粋します。

第一部 講演
徐 仁澤(ソ・インテク)AKU Korea 共同代表


―米中覇権戦争の行方
■中国に対する批判の高まり。コロナウイルス、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒の宗教弾圧などの人権問題。また、香港の国家保安法の成立。宗教の自由、良心の自由を弾圧する中国の姿が露わになってきている。
■トランプ政権は貿易戦争により中国を圧迫した。バイデン政権に代わり、それに加え、人権、民主主義など価値問題を加え、圧迫を加えている。
■世界の強大国であるアメリカと中国のこのような争いを見た時、どのような国家となるのを選択するのか、という課題が生じる。すなわち、宗教の自由を弾圧する中国のような国家か、宗教の自由を憲法の第一条項においているアメリカのような国家を選ぶのか、という問題である。

―現在の北朝鮮
■UNを中心とした経済制裁、コロナウイルス、洪水被害で、国家 全体が非常に苦しい状態にある。
■昔は韓国政府が北朝鮮を支援したが、今は簡単ではない状況。このような状況を、統一のための新しい機会だと捉えることが可能。
■国際社会は核問題の解決のためにのみ動いてきたが、核問題だけを別に扱ってはいけない。UNをはじめとした国際社会が、統一をフレームワークに入れるべきである。
■そのためには国際社会を説得するための努力が必要。しかし、統一問題をめぐっては、韓国内が理念で分裂している状況。明らかに統一のチャンスは来ているが、統一を成すためには先決課題がある。それは統一に対するビジョンに対して合意を作ることである。

―統一のためのビジョン
■統一国家の事例として、成功した統一の事例はアメリカの建国、統一だと言える。移民によりできたアメリカは、言語、血筋、民族ではなく、ビジョンを中心に一つになった。そのビジョンとは、生命権、自由権、幸福追求権が保障された国家であり、自由市場経済が保障された国家である。
■One Nation under Godのビジョンの下に建国されたアメリカは世界の文明史を新たに書き換えた。朝鮮半島もそのビジョンを先に立てることが必要。そのビジョンは、世の中に利益をもたらす、”弘益人間”というビジョンであり得る。
■3.1独立運動の目標は”弘益人間”の理想の下、新しい国を作ろう、ということだった。1945年の解放後に、朝鮮半島は民主主義と共産主義に分裂したが、統一においては北朝鮮住民も参加できる理想が必要。

―新しいビジョンは、現状をどのように解決していくことができるか。
■アメリカは歴代政権が30年間、北朝鮮の核問題の解決に対して努力してきた。
■オバマ大統領の戦略的忍耐、トランプ大統領の北朝鮮との対談。いずれも失敗した。朝鮮半島問題については核問題だけを分離して扱う、という政策は存在しない。
■新しい代案としての枠組みは「コリアンドリーム」(詳しい内容は書籍「統一コリアへのビジョン–コリアンドリーム–」を参照)
■国際社会が一つとなってこの問題に向かうべきであり、民間を中心とした草の根運動が必要。大衆運動としての統一、そのような統一戦略が必要。それがコリアンドリームのフレームワーク。
■理想が実現した統一国家を建設していく、ということが結論。

柳在豊(リュ・ジェプン)ワンコリア財団 会長



―2018年、AKUJapan創設大会の際に日本を訪問した所感
■東京、京都、大阪を訪問し、日本の国会議員に会ったり、社会団体を訪問したりした。2.8独立宣言文が読み上げられた東京韓国YMCAを訪問したり、川崎代表の帰国事業の経験を聞いて衝撃を受けた。
■韓半島の自由統一を実現するためには、日本の役割が非常に重要であるし、AKUJapanの役割が重要。ただ、日本全体が朝鮮半島統一のために協力するという雰囲気は感じられなかった。
■韓半島は世界に占める面積、人口ともにわずかなものである。しかし、世界の関心事になっている。北朝鮮の核兵器やミサイル技術、また、人権問題などの負の側面で。そして、韓国は工業化、民主化を非常に短い期間で成し遂げたと言う意味で。
■しかし、統一という問題についてはほとんどが傍観者になっている。
■1919年の2.8独立宣言、3.1独立宣言で、”弘益人間”のナショナル・モットーに基づいた国家建設が叫ばれた。しかし、それは1945年の独立時でも達成されていない。
■共産主義と平和が共存できる、という考えは端的に誤っているし、平和が先という考えは誤用される可能性がある。無条件に統一しなければならない、というのも間違っているし、民族同士の統一でもいけない。国際社会全てが統一のプロセスにおいてサポートする必要がある。日本の大きな役割が期待される。

川崎栄子 AKUJapan代表理事


―3.1独立運動の意義
■韓半島最大の国民運動であった3.1独立運動が日本、東京から始まった、という点は大きな意義がある。留学生の独立宣言であり、影響を受けた3.1独立運動は当時、韓国人たちの一大独立運動であった。3.1運動を通して、韓国人たちは植民地支配を拒否する意思を国際社会に鮮明にし、その直後に大韓民国臨時政府を創建した。

―第二次世界大戦と北東アジアの国々の行方
■歴史はいつも正しい方向にばかり進んでいるとは言えない。理不尽な戦争があり、人間による人間の虐殺があり、今また、北朝鮮による歴史の逆行が展開されている。北朝鮮の独裁政治を終わらせるための日米韓の協力関係は揺らぎ、日韓関係は最悪の状態にある。
■第二次世界大戦が終わる時、当時の共産勢力と自由民主主義勢力の接点によって韓半島が分断された。外勢によって、分断された。
■金正日は莫大なお金をかけ、主体思想を広げる主体思想研究所を建設。韓国の主体思想派の決定だとなったのは、主体思想の創設者である、黄長燁の脱北だった。韓国政府が黄長燁を受け入れることにより、韓国の若者は主体思想をいいものだと誤解し、新しい組織に没頭していった。金正日に従って韓半島から米軍を追い出そうとしている。
■3.1運動の目標は、日本からの独立と自由民主主義の国を作ることだった。102周年後の今日、北朝鮮には独裁政権が存在していることに胸を痛める。正しい意味での統一のために、全ての人々が1つの目的を持って前進していこう。

―統一への想い
■2003年度に脱北し、自身の子どもたち4家族が北朝鮮に残っている。統一のために胸を痛めているのは、公のことではあるが、個人の問題でもあります。生きて彼らに再会することを一番望んでいる。その実現のために、今の北朝鮮の独裁政権を終わらせなければならない。

第二部 質疑応答
村主道美(むらぬし みちみ) 学習院大学法学部政治学科教授の質問
①1919年以前の韓国社会をどのようなものだったとお考えになるか。1919年の独立運動は西洋的、近代的な感じがする。しかし、日本人が韓国の19世紀に対して学ぶことは、例えば「両班」上流階級と下流階級の差が激しい社会である、19世紀末から20世紀初めにかけて、平等という観点について大きな変化があったのか。
②統一された後、統一前の歴史はどのように評価されるか。
③韓国人の中で北朝鮮に拉致された人々の問題。日本に比べると軽く扱われているように見えるが、そうなのか。
④独裁政権の終焉という意味で、韓国における親北勢力。
⑤国民と国家の関係をどのように判断するか。文政権は、国家間の友好関係を築くということに関しては気を遣っているが、北朝鮮の国民に対してはあまり気を遣っていないように見えるが、どうか。

徐 仁澤(ソ・インテク)AKU Korea 共同代表)の回答
①1919年以前、その後と大きな変化があったのは確か。日本や中国が外国人と交流を始めた頃、韓国は鎖国をしていた。文明開化が遅くなったことは確か。過去の歴史を見ると、韓国の植民地化をし、近代化に努めたことももちろんだが、韓国国民自体が東学運動などを通して平等のための運動をしたし、また、キリスト教文化が韓国に多く入ってきたことも幸運なことだった。3.1運動がこれら全てが合わさって起こったことだった。そのような意味で3.1運動が大きな分岐点となった。

②第二次世界大戦以降の冷戦が分断の大きな原因となっている。中国、ソ連という強大国が北朝鮮を支え、韓国に対してはアメリカなどの自由国家が支えてきた。北朝鮮の共産主義体制に対する執着も強かった。これらのことが複合的に関わり、統一が叶わなかった。ソ連が崩壊した際に統一のチャンスがあったが、それに対応しきれなかったと言える。日本にも分断の責任があると主張する人々がある。いろんな観点があるが、統一のためには日本も協力する必要があると考える。

③~⑤2017年、北朝鮮の核問題による緊張感が高まり、北朝鮮とは対話を中心に友好的なスタンスをとる姿勢が高まってきた。文政権も歴代政権の中の一つだと見ればいいと思う。一般的に韓国には5,000万人の国民がいる。政権は人権や住民の生活に関心を持たなければならない。一般的韓国人は北朝鮮に対して大きな関心を持っている。脱北民が伝える北朝鮮のストーリーが毎日流れている。多くの人がその話を聞いて涙を流している。韓国にある親北勢力は、統一の日にはそのような勢力はなくなるべき。彼らに対していかに対策を立てて対応するかが大切。社会統合においてはネルソンマンデラ式の考えが必要だと考える。簡単なことではないが、道徳的価値・原則が大切だと思う。

小川 晴久(おがわ はるひさ)東京大学名誉教授のご意見
 北朝鮮の民主化が統一のためには絶対に必要だという川崎代表の意見に完全に同意する。25年間、北朝鮮の強制収容所を無くす運動を行ってきた。国連を中心とした運動の成果が出てきている。2009年に、社会主義憲法の中に人権を尊重するという項目が入った。最近、北朝鮮も韓国も、北の人たちの知る権利を阻む法律を作った。非常に憂慮すべき事態にある。北朝鮮の人たちが韓流ブームを通して、韓国のこと、外の世界のことを知り始めている。世界基準の人権について少しずつ北朝鮮の社会に入り始めている。そのことは大変嬉しいことだと思うが、この活動を強めていく必要がある。
 三人のお話を聞いて、統一のためのビジョンを考えていかなければならないと思った。ソ先生が話をされた内容を参考にして、統一のビジョン、中身について考えていきたいと思う。