一般社団法人
アクション・フォー・コリア・ユナイテッド

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統一日報連載記事 ノースコリアンナイト著者によるオンラインセミナーを実施しました

2021/09/07

 7月24日の午後7時から、「金正恩氏による「苦難の行軍」宣言と北朝鮮国内の現状」をテーマとして、統一日報連載記事ノースコリアンナイト著者を講師に迎えオンラインセミナーを開催しました。
 ご自身の経験に基づいた、北朝鮮における3代にわたる、「苦難の行軍」についての解説と、国際社会との関係の変遷。また、国民の状況について解説をされました。

 多くの内容の中から、要点を抜粋します。

―現在の活動について
■メインは北朝鮮人権問題を法廷で解決する活動に携わっている。
■連載「ノースコリアンナイト」の中に登場する人物を北朝鮮が特定する可能性があるため、サングラスをかけて今回は講演を行った。
■今、書いている連載は自分個人のストーリーではなく、北朝鮮に行った人の気持ちを代弁する気持ちで書いている。

―略歴について
■1970年 北朝鮮の日本海側で生まれた。
■北朝鮮の一般社会では一番下の身分に位置し、4歳頃から差別を受けて育つ。
■学歴は、電気工学部電気機械学科卒業。もともと大学に入れない身分であったが、偶然が重なり、大学に入学することができた。
■職歴は、電気機器設計士、児童学生図書館司書、商売、などを通して、お金を稼いでいた。
■人生で最初の大きなターニングポイントは息子が栄養失調になった時であった。
■脱北のきっかけは、隣の家の子どもが麻薬中毒になった時。大人の間には1980年代から麻薬が広まっていたが、子どもまで麻薬が流行している現状にショックを受ける。
■2007年12月に脱北。しかし、脱北中に夫が逮捕され、離散家族となる。中国では北朝鮮保衛部に追い掛けられる。
■2008年12月子ども2人と日本に入国する。コンビニ、法務局、お店などで働き、生計を立てる。2009年6月には資料が読めるほど、日本語を習得し、国会図書館などで帰国事業について学び始める。
■その後、法政大学法学部法律学科の通信に通い、卒業する。
■現在は、北朝鮮人権問題の法定解決のための活動や、北朝鮮の料理教室などを行っている。NGO「モドゥモイジャ」の事務局長として、また、国際的活動もしている。
■日本人の素晴らしさゆえに、在日コリアンの帰国事業に対する人道的責任をとっていない状況に葛藤を覚え、その解決のために活動をしている。

―最近の北朝鮮の状況に関して
■日本に住んでいる私たちと何の関係があるのか。3代まできている。日本のニュースがあまり大きく扱わない。拉致問題のみを扱っていることに疑問を覚える。
■今までの歴史になかった動きが出てきている。その部分は日本のメディアで報道がない。日本のメディアはミサイルなど危機を煽り、日本の国防費の増強につながっているのでは。


3代に渡る「苦難の行軍」について説明するたんぽぽ氏

■金日成は、抗日パルチザンの中で、「苦難の行軍」を宣言。
■金正日は1996年に「苦難の行軍」を宣言。苦難の行軍が終われば、「民に白米と絹の服に瓦の家を」というマニフェストを公言していたが、結局叶えられなかった。
■金正恩は2021年4月8日、さらに厳しい「苦難の行軍」を行うと発表。軍に餓死者が多発している。

―北朝鮮の慢性的な飢饉
■普通の街で上記のような写真が見られた。
金正日の時代は、誠実な国民は先に死亡した。よく、生き残った国民は「キツネとオオカミが生き残る」と話していた。常に自分に危機感を持たないと生きていけない社会だった。
■北朝鮮の慢性的な飢饉の原因は、身体の自由や欲、感情を許さない社会作りに会った。そうした人権を与えると、余計なことを考える、と考えられていた。
■黄長ヨプと金日成の出会いにより、状況がエスカレート。国内に会った外国文学などに対する統制が厳しくなる。

―金正恩時代の「苦難の行軍」の特徴
■金日成の時代は、ヨーロッパの社会主義国からの援助があった。少ない配給でありながら、国民は金日成を信じていた。
■金正日時代は、唯一”朝鮮総連”の援助だけであった。全ての資金を、資金づくりのため、武器販売を行った。
■金正恩時代は、北朝鮮一族により利益を得る一族が多くある。彼らに対しても利益相反が起こってきている。また、イスラエルによる北朝鮮監視が強まったりするなど、国際商売力が低下している。


自身の団体NGO「モドゥモイジャ」について語るたんぽぽ氏

―最後に
■一人ひとりが人権問題に対して、「人間の責任」「大人の責任」を果たすことが必要。
■世界とのつながり、北朝鮮との関連を認識する。日本の政治につながっていることも多くある。
■北送事業が当時、北朝鮮の事実が社会に浸透していれば、これほどまでに北送事業が展開されることはなかっただろう。自身の経験もあり、情報を伝えることの重さを感じながら、統一日報の連載記事を書いている。

―質疑応答
Q:実際には実行しなくても、「脱北」しようか、と考えた事がある人は北朝鮮の大人の中に何くらいいると思いますか。何か推測する方法はありますか。
A:国民の10%ほどだと考える。推測としては、脱北をするのは、国民の中で苦しい生活をしてる40%の人々のうち、脱北が可能になるお金を持っている人。北朝鮮全体の人口のうち6割は脱北を考えない。

Q:日本で困ることは何でしょうか。
A:離散家族の痛み、ストレスがある。また、出自を正確に書くと、パートなどの職を得るのに不利益となることがとても多い。
また、北朝鮮には信号がない。日本の信号に慣れるのに4年かかった。等。

 他にも多くの内容が話されました。