一般社団法人
アクション・フォー・コリア・ユナイテッド

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弘益人間とコリアン・ドリーム

2019/08/10

三國遺事にある弘益人間


 弘益人間は大韓民国の国是と言えるものです。教育基本法の第2条「教育理念」にも、「教育は弘益人間の理念のもと、すべての国民をして人格を陶冶し」と、弘益人間が教育理念の根幹にあり、それを具現化した人格を涵養することを目指しています。
 “弘益人間”という言葉は、13世紀末に書かれた史書『三國遺事』に登場します。同書の古朝鮮条によると、昔、桓因(帝釈天のこと)の子の桓雄が、つねづね天下に対して関心をもち、人間世界に降りて行くことを望んでいました。父が子の気持ちを察して、三危太白(三危は三つの高い山、太白はその中の一つ)を見下ろすと、(そこは)人間を広く利する(弘益人間)に十分であったので、(子に)天符印3個を与え、降りて行って(人間世界を)治めさせた、とあります。桓雄はある熊の願いをかなえて女にし、この熊女(ウンニョ)との間に子ができ、これが檀君王倹(檀君)であり、朝鮮最初の国家である檀君朝鮮を築いたのでした。これが5千年前の古朝鮮の建国神話であり檀君神話として朝鮮民族の間で語り継がれています。

 建国神話に描かれた弘益人間の理念は、歴史的に変遷してきた朝鮮民族の宗教的信条を超えて、朝鮮民族のアイデンティティを形成して、人類に奉仕するように導いてきました。1919年、天道教、キリスト教、仏教の指導者が共に発表した3.1独立運動の独立宣言にもその精神は表現されています。当時の独立運動家たちは日本への復讐というレベルではなく、旧体制への回帰でもなく、さらには民族のためだけでなく、弘益人間が示す民族精神が具現された世界の模範となりうる理想国家の建設を目指していたのです。
 3.1独立運動の後、上海で大韓民国臨時政府を作った独立活動家の金九は、「それ故に、真の平和が我が国から、我が国によって世界に実現されることを願う。世界平和はまさに我が国祖、檀君の理想である弘益人間を実現することによって叶うのである」と大きな夢を語っています。

 今日、弘益人間の理念が朝鮮民族共通の念願だとすれば、これを達成するために必要な不可欠なステップとは一体何でしょうか? それが他でもなく、分断された朝鮮半島の統一です。南北の分断は朝鮮半島や東北アジアのみならず、世界の安全保障と経済に脅威を与えています。分かれた朝鮮民族を一つに束ね、20世紀の苦難の歴史を反転させることができるビジョンがまさに弘益人間の思想に基づき、南北のコリアンが共に抱く「コリアン・ドリーム」となり得るのです。

 「一人の人の 夢は夢に過ぎないが、全ての人が共に夢を見るのならそれは現実になる」といったチンギス・ハーンの洞察に深い意味を見出すことができます。チンギス・ハーンは「一つの天の下の一つの世界」という夢を抱き、新しい世界秩序を作ろうとしました。アメリカはその独立宣言文の精神に基づく「神の下の一つの国(One Nation Under God)」を実現するアメリカン・ドリームを抱いてきました。60年代、黒人差別の矛盾を抱えたアメリカで公民権運動を始めたマルティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師は、「I have a dream(私には夢がある)」のスピーチで再度、建国当時の夢をアメリカ国民に想起させたのです。これらの夢・ビジョンの核心には普遍的な真理と原則があり、弘益人間に根差すコリアン・ドリームも同様の普遍性があるのです。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア


 「人間を広く利する」ことが朝鮮民族の使命とも言えます。普遍的な真理と原則に立脚した平和的統一よって建国される統一コリアは、強力な道徳的権威を持ち、東北アジアの架け橋として地域間の協力を促進し、平和と繁栄に寄与することになるでしょう。その夢の実現は現世代の私たちの手にかかっています。(文責・事務局)

One Dream One Korea One World Campaignの様子(ソウル光化門広場)