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アクション・フォー・コリア・ユナイテッド

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作詞・作曲家のキム・ドンチャン氏にインタビュー「統一された朝鮮半島、ナンバーワンの国家になるだろう」

2020/08/06

8月15日のワンコリア国際フォーラムの後に、5番目となる新時代統一の歌が発表される。

 トロット調の歌をミストロット・ミスタートロットで有名なナ・テジュが歌いテコンドーの演武を取り入れたKタイガースゼロがダンスを披露します。その「ナンバーワンコリア」の作詞・作曲をしたキム・ドンチャン氏にインタビューをしました。

 流行は繰り返すという言葉が証明するように、昔の母たちが作業する時、着ていた「モンペズボン」が最近「冷蔵庫ズボン」という言葉になり、国内外で流行っています。少しは遅くて不便でもレトロ感がいいということで、昔使っていた小物を扱ったカフェがSNS上で人気のセルフィの有名な撮影場所として登場しています。音楽産業も例外ではありません。いつの間にかトロットの流行が始まり、「ミストロット・ミスタートロット」(TV朝鮮)などのプログラムがTV番組芸能部門の最高視聴率を記録しました。



 今まで600曲以上の歌を作ったキム・ドンチャン氏はトロットが途絶えることなく愛される理由を、「誰もが簡単に歌える音と生活の中で共感を得られる物語が入っているから」だと説明しました。ミスタートロットの準決勝で歌手チャン・ミンホが歌ったナムジンの「サンサファ(夏水仙)」もキム・ドンチャン作曲家の作品です。「夏水仙は葉が先に咲いて、その葉が落ちたところに花咲きます。一つの根から出ても花と葉が互いに会えないです。愛しても会えない人々の心を歌った歌で、サンサファ(夏水仙)というタイトルを付けました」。

 周りから見て、聞いて感じるすべてが歌の歌詞になると伝えたキム氏は、「鳳仙花恋心 봉선화연정(1988/ヒョンチョル)」「愛の名札 사랑의이름표( 1998/ヒョンチョル)」、「4拍子 네박자(1998/ナムジン)」など数多くの人気曲の歌詞を書きました。「ヒット曲製造機」と呼ばれた彼が今回は統一の歌を作ります。時代像を歌の歌詞に入れ、希望をもたらした彼の手からどのような統一の歌が生まれるか期待されます。(インタビュー・文章:ホ・ギョンウン)

■日常が歌になる
「誰がまた思わず石を投げるか、何も考えずあなたは投げたとしても、私の心には傷ができた」。
 1989年登場したオ・ウンジュの「つぶて 돌팔매」の歌の歌詞です。軽快な曲の愛の歌だと思っていたこの曲が、実は民主化運動を背景に作られた曲ということを知っている人は多くありません。

「当時、街角では石が飛んでいました。あっちこっちで石の投げ合いをしていて街中で店を運営している人々はガラスが割れて、物が壊れて商売することが簡単ではなかった。どこにも言えず、生活に苦しんでいる隣人が周りにいました」。

 時々、彼が成功させた曲に時代像が見えます。ベ・イルホの「身土不二 신토불이」は1993年ウルグアイラウンドの交渉の時に作られました。交渉が妥結されると輸出の規模が拡大されますが、米の市場も開放されることで農民の反対も多く、デモが激しく行われました。
 キム氏はこのような姿を見て、国民自ら、我が農産物を沢山買って食べればいいのではないかと思い、「我々の物がいい物」という認識を拡散させるためこの曲を作ったといいます。

「日常の生活も歌になります。一度妻と共に釣り場に行ったら、付き合っているように見える男女のカップルがいました。情も捧げ、心も捧げ、愛も捧げたのにこんな風に別れるの?ということで喧嘩していて、それを見て妻と向き合って『あなたもよくしないと。胸に名札をちゃんと付けて歩き回るとあんな風にはならない』と笑いながら話した言葉がヒョンチョルの歌『愛の名札』になりました。ソン・デグァンの『ネパクチャ(4拍子)』のような場合、飲み会の場で誕生しました。たまにクラシックをしている方々の中には大衆音楽の従事者を無視している場合があるのですが、集まって飲み会を開くと皆誰もが同じです。あなたも私もなんの違いもないのに何を偉そうに言っているのだという心から作った曲です」。

 説明を聞くと、「見下げる人も上を見上げる人も同じリズムで」という歌詞がさらに耳に残ります。彼の音楽が長く愛され、共感を得られる理由はこのように日常から見つけた素材のおかげなのでしょう。

■左右の均衡を合わせ飛ぶ鳥のように
 2015年度から統一ビジョンを拡散させるため市民運動を展開したONE K GLOBAL CAMPAIGN組織委員会に繋がったキム・ドンチャン氏は、今年の光復節をきっかけに自分のスタイルで作った統一の歌を発表する予定です。いつも生活の中で言葉の素材を探してきた彼が、重い統一をテーマに果たしてどのような歌を作れるか楽しみです。

「統一を話す前に私たちの内部を見ると左右の対立があまりにも激しいです。我々自身が一つになれないのに北朝鮮の社会を抱擁できるでしょうか。だから私は一羽の鳥に我々の状況を比喩してみようと思います。鳥の一つの翼が折れたり、なかったりしたら上手く飛べません。左右の二つの翼をすべて開いて均衡を保って飛べば遠くのところを目指して飛べます。私たちの社会がもっと抱擁力を持って均衡を持つと、統一も自然とついてくると信じています。すべての人々が簡単に歌える曲にこのような意味を持っている歌詞を付けています」。

「数多くの歌を作って来ましたが、誰が歌うかも大事なポイントです。歌を子どもにたとえると、作曲家は子どもを産んだ親であり、歌手はその子を育てる人です。歌手によって歌の味が変わり、その味によって歌の生命力が変わります。まだ作業中ですが、この歌を美味しく歌える歌手に出会えることを楽しみにしています」。

 氏は「本当の統一は鉄の壁を一つ取り除くというものではない。どう決意していくのかがもっと大事です」と強調しました。
「分断があまりにも長くなってある人は『統一』という言葉だけ聞いても嫌がる場合があります。実際統一は言葉だけではなく、心でなすべきものであり、どんな志を持つかによって現実的な準備も上手くできます。ドイツが統一された後にも苦しみがありました。何の準備もなく急になされる統一は副作用があるでしょう」。

 去年はベルリンの壁が壊れて30周年を迎えた年でした。事件自体は世界の歴史に感動的な日として記録されましたが、過去30年を振り返った専門家たちは「未完の統一」であったと判断し、東西の経済的格差の解消までにはこれからも20年以上がかかると分析しています。キム氏の言葉通り、統一は鉄の壁一つ片付くのが終わりではなく、始まりだということを認識することが必要でしょう。

■音楽で痛みを治癒し、愛を夢みられるようにする
 キム氏は2017年70歳の誕生日を記念に、「立派な男キム・ドンチャン『歌人生50年』」という題の記念行事を実施しました。作詞・作曲家として記念公演を開くことは珍しいですが、「KBS大河ドラマ音楽、効果賞(1987/1999)」「韓国歌詞大賞、歌詞賞(1990/1993)」「大韓民国伝統歌謡、作曲賞(2019)」など彼の華麗な受賞経歴からもわかるように、彼が韓国音楽の発展に寄与した功績が大きかったからこそ可能だったのです。

 ヨイドKBSホールで開催されたこの行事の司会はソン・へ先生が担当し、ヒョンチョル、ナムジン、ベ・イルホ、オ・ウンジュ、キム・へヨンなど韓国の大衆音楽を導いた代表歌手が多く参加し、舞台を盛大に飾りました。



「忘れられない公演であり、今までの音楽の人生をふり返るきっかけにもなりました。その日妻のため作った曲『本当にいい참 좋다』という歌を直接舞台に立って歌いましたが、私を始め観客席からも共に涙を流し、感動的でした。私がいつも『一枚の東洋絵画のようだ』と妻を紹介するですが、私の側で見守って、応援してくれる妻に感謝を伝えたいです」。

 音楽人生50年をふり返るとキム氏の人生がすべて歌であったように見えますが、時代像を込む音楽家であるだけに多様な社会活動にも積極的に参加しています。KBS全国歌コンテスト審査委員、キム・ドンチャン音楽研究所代表などの音楽産業以外にもゴボングループ巨済-白病院の財団理事、韓民族文化協会理事、大韓民国在郷警友会広報大使など音楽、文化、社会分野の多様なポストを持っています。70歳を超えても活発に活動している彼に夢を聞きました。

「大韓民国が世界の中で今まで成し遂げたことを見ると、我々だけが豊かに生きていこうという欲よりは、共に分かち合い良いことを伝えようとした努力があったからだと思います。だからこそ自然に国力が伸長され、世界の人々から拍手をもらうと、それがまた、北朝鮮の地にも伝えられ、私たちが強要しなくても自ら一つになろうという心が生まれると思います。そのように生まれる『ワンコリア』は世界の中で本当の『ナンバーワン』国家になれると信じています。その道に私が作った音楽が痛みを治癒し、愛を夢見る役割を果たせることを望みます」。

 原文(韓国語)は以下の通りです。
 http://kdtimes.kr/news/view.php?no=1171

 8月15日のワンコリア国際フォーラムについては以下から。
 https://www.koreaunited.jp/news/397