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アクション・フォー・コリア・ユナイテッド

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特別寄稿 米・中 文明の衝突、大韓民国の選択は?

2020/09/30

 中国は80年代から鄧小平の開放改革政策を通じて、米国との経済関係を強化しながら、急速な成長の時代を迎えました。米国は中国をグローバルなサプライチェーンに編入し、中国の商品を大量に購入し、世界の工場として中国が変身する大きな助けとなりました。米国は中国との協力を通じて、ソ連を封鎖するための戦略的意図を持っていました。また、中国が開放と改革を通じて市場経済体制に進むよう誘導し、これにより、政治的にも共産党一党独裁体制から脱して民主的システムが動作している社会になることを期待しました。

 中国は経済的に市場経済システムに進むかのように動きましたが、根本的に社会および政治的システムを変化させるにはまだ限界があります。むしろ、中国共産党の権力が政策的に市場経済の要素が社会の内部に入り込むことに対して限界を定め、速度を調節したと見なければなりません。

■中国経済の弱点
 中国が市場経済の要素を取り入れながらも、社会主義経済体制を固守する方法の一つとして、国の支援と制御を受ける国営企業を育成することがあげられます。中国当局は、金の力で莫大な負債を量産しながらも、政策的に国営企業を支援しました。天文学的な負債にもかかわらず、中央及び地方政府によって党が目標にした経済成長率を達成するために、中国内部の物質的需要と消費が裏付けされていない状況でも、莫大なインフラ投資、過剰生産と投資をしているのです。

 中国経済の最大の弱点の一つは、国内市場が相対的に非常に脆弱であることです。李克強首相が明らかにしたように、月の所得が1千元以下の人の中国人が6億人以上と言ったことは、中国人の大多数が内需市場を支える購買力がないことを意味します。

 中国がこのような弱点を克服するために、経済成長を通じて貧富の格差を減らし、大多数の中国人を購買力がある中流階級へと変貌させなければなりませんが、これは決して容易ではないことでしょう。米中貿易紛争、政府の負債増加、過剰生産と投資、民間企業の不振、地域不均衡発展、影の金融の肥大、貧富格差の拡大など、中国経済が乗り越えなければならない課題が山積しているからでです。

■中国の幻想から脱した米国
 2018年10月4日、ペンス副大統領は、ハドソン研究所の演説で「中国を友人だと考え改革開放に多くの援助をしたが、中国共産党は17年の間、偽りと詐欺を行い、中国の自由化の風に逆行する姿を見せてきており、米国を脅す権威的国家運営を放棄しなかった」と批判しました。

 この延長線上でトランプ政権は5月21日、「米国の対中国戦略」を米議会に提出しました。これは2017年に、米国防総省が発表した「国家安全保障戦略(NSS)」をもとに、米国政府の今後の対中国戦略と政策の方向を集約した報告書です。

 トランプ政権は、このレポートでは、米国が中国と外交関係を樹立した後、約40年の間に取ってきた中国に対する政策が完全に失敗したと前提しています。
 ぺンス副大統領の演説とトランプ政権のレポートで見られるように、米国の指導者たちは中国に対する幻想から目覚め、これ以上中国の政治的民主化や変化を期待しなくなったと思われます。最近の香港の問題は、このような米国の指導者たちの確信を高めています。結局、中国共産党政権の崩壊がなければ、米国が追求する戦略が、世界的なレベルで貫徹されることができないことを認識したと見ることができます。

■米・中覇権戦争はイデオロギーの衝突
 今後、米国と中国の間の覇権戦争は、軍事と経済的な側面だけでなく、政治理念や価値の領域にも拡大するでしょう。しかしながら、覇権戦争が激化すればするほど傷を負う可能性がある国は、中国となる可能性が大きいと思われます。

 米国ジョージタウン大学教授マシュークロエニグ(Matthew Kroenig)は最近、彼の著書「The Return of Great Power Rivalry」を通じて、歴史上民主主義国家と独裁主義国家の戦いでは常に民主主義国家が勝利したと釘を刺し、覇権戦争で中国は決して米国に勝つことができないと結論付けました。
 米国は、中国への圧力が中国の国内支配モデルを変化させる試みとして見られないよう努めてはいますが、密かにこうしたことを狙うかもしれません。

 最近、ポンペイオ長官がカリフォルニア ニクソン図書館で行った演説でも、中国共産党政権を変えなければならないという意志が示されています。彼は「共産主義者、中国と自由世界の未来(Communist China and the Free World’s Future)」と題した講演で、「これまで米国が中国を相手に50年以上にわたり進めてきた包容政策を終えて、中国共産党の挑戦から自由を確保することが、私たちの時代の使命であり、米国はこの先頭に立つ」と述べた。上記のような発言は、経済を超え、米国が中国の覇権拡大を阻止するために、新しい民主主義国家のアライアンス構成をはじめとするイデオロギー戦争を本格化したものと解釈されます。

■安保・経済・平和実現のための大韓民国の選択
 米国と中国の覇権戦争激化は、大韓民国における危機であり、またチャンスであります。多くの人々が、米国と中国の覇権競争が激化すると、その中で、大韓民国は選択のジレンマに陥るだろうと懸念しています。米国と中国、両国の安全保障・経済において多くの部分を依存している韓国の場合、二者択一的な状況になると、選択の難しさに直面するだろうという意味です。「安米経中」という言葉のように、安保は米国に、経済は中国にという言葉によって、選択の状況を免れたいという考えも持っています。

 ところが、大韓民国が米国を選択しなければならないことに対しては、次のようないくつかの理由があるのです。

 最初に、米国は自由民主主義という韓国と同一の価値と経済理念を持った国であり、これに基づいて統一国家を建設していくためであります。これは国家のアイデンティティに関する問題であり、現在そして未来にどのような国を作っていくのかの根本的な価値なのです。

 第二に、中国は非民主的権威主義国家で、自国の国民に対し暴圧的な統治を思いのままにしています。宗教と信仰の自由も形式的にのみ存在しています。100万人以上のウィグル族と少数民族、少数宗教人等を政治犯収容所に拘禁しました。政治犯収容所で、彼らは強制労働とイデオロギー洗脳教育、肉体的・精神的虐待を受けています。これらの野蛮な弾圧は、文明国として容認することができません。

 第三に、中国は対外関係においても自由で開放され、ルールに基づいてなさなければならないという国際秩序を継続的に弱体化させています。中国は国力が増強されることによって、自国の利益のために潜在的な脅威を除去し、中国の戦略的目標を全世界的に達成するために、脅威と強制の手段を使用しているのです。これは平和を愛する韓民族の精神に合致せず、共生と互恵の精神で国際関係を追求する大韓民国の志向と矛盾します。

 第四に、同じ価値観を共有する国が、経済的ネットワークを強化し、脱中国や中国の依存度を減らす方向に、米国の政策に従っていっているのです。米国主導の脱中国経済繁栄ネットワーク(EPN)は44兆ドル規模で、親中国ネットワークの19兆ドルに比べて2倍以上大きいです。経済的な部分でもEPN市場がさらに規模が大きく魅力的であることは間違いありません。大韓民国が米国を選択すべきもう一つの理由がここにあります。

AKU韓国共同代表
金白山